夜だけWi-Fiが遅くなる原因と解決策 | 5分で診断できる3つの原因

遅い

19時~24時になると、YouTubeが止まる、Zoomが途切れる、ゲームのラグが酷くなる…こんな経験ありませんか?

「ルーターを買い替えるべき?」「回線を変更した方が?」と考える前に、まず原因を正確に特定することが重要です。実は、夜の通信速度低下には3つの異なる原因があり、それぞれ対策は全く異なります。

この記事では、20社以上のネットワーク機器メーカー・通信キャリアの公式資料をもとに、あなたの環境で何が起きているかを5分で診断できる方法をお伝えします。

記事でわかること

  • 夜だけWi-Fiが遅い3つの原因と見分け方
  • ルーター買い替えが本当に必要かを判断する方法
  • 今すぐできる改善方法と根本的な解決策
  • 無駄な出費を避けるための診断チェック

夜だけWi-Fiが遅くなる3つの原因

夜間にWi-Fiが遅くなるのは、実は3つの異なるレベルの問題が混在しています。それぞれの原因を理解することで、対策が大きく変わります。

原因1:インターネット回線の混雑(夜間トラフィック)

最も一般的な原因がプロバイダの回線混雑です。

なぜ夜だけ遅いのか?
インターネット利用者は、19時~23時に集中します。動画配信、ゲーム、SNS、テレビ会議など、多くの人が同時に通信することで、プロバイダの基幹回線(バックボーン)が飽和します。通信業界ではこれを「ベストエフォート型」と呼び、最大速度は保証されません。

出典:NTT東日本公式 – インターネット接続サービスの速度について

特に問題なのが古い通信方式「PPPoE」です。これは多くの小規模プロバイダが採用しており、夜間の混雑時には著しく速度が低下します。一方、最新の「IPv6 IPoE」方式では、混雑の影響を受けにくい仕組みになっています。

チェック項目

  • 日中(11時~16時)の速度 vs 夜間(20時~23時)の速度に大きな差がある
  • Wi-Fi接続でも有線接続でも、同じタイミングで遅い
  • 複数の端末すべてが同時に遅くなる

原因2:Wi-Fiの電波干渉

ルーター自体は問題なくても、Wi-Fiの電波が干渉している場合があります。

Wi-Fi周波数帯の違い
Wi-Fiには2つの周波数帯があります。一般家庭で使われている2.4GHzは、電子レンジやBluetoothと同じ帯域のため、干渉しやすく速度低下の原因になりやすいです。一方、5GHzはより新しい帯域で、干渉が少なく高速です。

出典:BUFFALO・ATERM公式技術資料

特に夜間は、周辺の家庭のWi-Fiが増加するため、干渉が強まります。古いルーターは2.4GHzのみ対応のため、この問題が顕著です。

チェック項目

  • 特定の端末だけが遅い(スマートフォンは遅いが、PCは速いなど)
  • ルーターから近い時は速いが、距離が遠いと遅い
  • 壁越しでの接続が特に遅い
  • Wi-Fi設定画面で「2.4GHz」しか見当たらない

原因3:接続端末の増加と端末性能

家族で複数の端末を同時使用する場合、帯域が分割されて各端末の速度が低下します。

同時接続の限界
Wi-Fiルーターは同時に複数の端末と接続できますが、帯域幅は一定です。スマートフォン3台、パソコン1台、スマートテレビ1台など、5台同時接続なら帯域を5分割することになります。

出典:BUFFALO公式FAQ – 接続台数と速度

加えて、古い端末(5年以上前のスマートフォンなど)は最新のWi-Fi規格に対応していないため、新しいルーターに変更しても速度が改善されないことがあります。

チェック項目

  • 夜間に家族が複数台の端末を同時に使っている
  • テレビ、エアコン、冷蔵庫など、IoT家電が増えている
  • スマートフォンが5年以上前の機種

まず行う切り分け診断

対策を立てる前に、どの原因が自分の環境に当てはまるかを診断することが最重要です。無駄な買い替えを防ぐために、このチェックを必ず実行してください。

ステップ1:回線の問題か、Wi-Fiの問題かを切り分ける

診断方法:夜間に「有線接続」を試す

  • パソコンをLANケーブルでルーターに直接接続
  • スピードテストサイト(例:Fast.com)で速度を測定
  • 結果を記録
診断結果 原因 次のアクション
有線接続でも遅い 回線混雑(可能性80%) IPv6への切り替えか回線変更を検討
有線は速いがWi-Fiは遅い Wi-Fi干渉または端末問題 ステップ2へ進む

ステップ2:Wi-Fiが原因の場合、さらに細分化する

Wi-Fiが遅いと判定された場合、以下をチェック:

診断チェックリスト

  • ルーター付近では速いか?
    → 「はい」 = 電波干渉の可能性(5GHzへの切り替え推奨)
    → 「いいえ」 = ルーター不良の可能性
  • スマートフォンとパソコンで差がないか?
    → 「差がある」 = 端末の性能差(古い端末は新規購入を検討)
    → 「差がない」 = 全体的なWi-Fi問題
  • Wi-Fi設定画面で「5GHz」が見えるか?
    → 「見えない」 = ルーターが2.4GHzのみ対応(買い替え対象)
    → 「見える」 = 5GHzに接続されているか確認

今すぐできる改善方法(費用ほぼゼロ)

ルーター購入前に、まず以下を試してください。多くの場合、これらで改善します。

対策1:ルーターの再起動

最も効果的かつ簡単な方法です。

  1. ルーターの電源を切る
  2. 30秒待つ(重要:キャパシタの放電)
  3. 電源を入れ直す
  4. 接続を再度試す

なぜ効果があるのか?
ルーターは連続動作で一時的なメモリリークが発生します。再起動で初期化され、接続性が回復します。

対策2:Wi-Fi設定の最適化

(1)5GHzへの切り替え

2.4GHzから5GHzへの変更で、劇的に改善することが多いです。

設定手順(一般的なルーター)

  1. ルーターの設定画面にアクセス(ブラウザに「192.168.0.1」入力)
  2. Wi-Fi設定 → 周波数帯設定
  3. 「5GHzのみ」または「5GHz優先」に変更
  4. スマートフォンはWi-Fi一覧から5GHz帯域を選択

出典:ATERM公式設定ガイド

注意:距離の問題
5GHzは高速ですが、障害物に弱いため、距離が遠いと接続が不安定になります。ルーター近くで使うデバイスは5GHz、遠い部屋は2.4GHzと使い分けるのが理想的です。

 

(2)チャネル最適化

同じ周波数帯で複数のWi-Fiが干渉している場合、チャネル変更で改善します。

チャネル選択の目安

  • 2.4GHz帯:チャネル1、6、11のいずれかを選択(これらは干渉しない)
  • 5GHz帯:自動設定でも通常OK

Wi-Fi分析アプリ(例:WiFi Analyzer)で周辺の干渉状況を確認できます。

対策3:接続台数の削減

夜間に複数台同時接続している場合、以下を試す:

  • 不要なデバイスのWi-FiをOFFにする
  • バックグラウンド通信が多い家電を控える(テレビの自動更新など)
  • 動画配信を「低画質」に変更(家族で複数同時視聴する場合)

これらで帯域幅が確保され、各端末の速度が向上します。

対策4:ルーター配置の工夫

意外と見落としやすい物理的な改善:

  • ルーターを床ではなく、棚の高い位置に置く(電波は上下に拡散)
  • ルーターを壁から離す(近すぎると電波が壁に吸収)
  • 冷蔵庫やレンジの近く避ける(電波干渉)

根本的な解決策(これで改善しない場合)

ここまでの対策で改善しなければ、回線または機器の見直しが必要です。

対策1:IPv6(IPoE)への切り替え

最も効果的な恒久対策です。

IPv6 IPoEとは?
古い通信方式「PPPoE」は、プロバイダの混雑に大きく影響されます。一方「IPv6 IPoE」は、新しい経路で通信するため、混雑の影響をほぼ受けません。速度は10倍以上改善することも珍しくありません。

出典:インターネットWatch – PPPoE輻輳とIPv6 IPoEの仕組み

通信方式 夜間速度(目安) 安定性 対応プロバイダ
PPPoE(従来) 1~5 Mbps 不安定 ほぼすべて
IPv6 IPoE 50~200 Mbps 安定 主要プロバイダ対応

手続き方法

プロバイダに連絡するだけで、通常1~2週間で切り替わります。

重要:対応ルーターの確認
IPv6対応ルーターが必要です。2018年以降のルーターはほぼ対応していますが、古いルーターの場合は別途購入が必要になる場合があります。

対策2:Wi-Fi 6(802.11ax)対応ルーターへの買い替え

IPv6対応でも改善しない場合のみ検討してください。

新しいWi-Fi規格のメリット

  • Wi-Fi 6(802.11ax): 理論値9.6Gbps。複数台同時接続に強い。2021年以降のルーター
  • Wi-Fi 5(802.11ac): 理論値3.5Gbps。2015年~2020年のモデル。安価
  • Wi-Fi 4(802.11n)以前: 古い規格。買い替え対象

特に家族複数台の同時使用や、4K動画・ゲームをするなら、Wi-Fi 6がおすすめです。

ルーター買い替え判断基準

「本当にルーター買い替えが必要か?」を判断するための基準表です。

状況 購入判定 理由
有線接続でも遅い ❌ 不要 回線混雑が原因。IPv6切り替えで対応
5GHz利用可能でも遅い ❌ 不要(まず診断) 回線が原因の可能性。設定見直しを
ルーター5年以上前+2.4GHzのみ対応 ✓ 検討 Wi-Fi 5対応(5,000~15,000円)で充分
家族5台以上同時接続+ゲーム利用 ✓ 検討 Wi-Fi 6対応(15,000~30,000円)推奨
既に5GHz対応ルーター使用中 ❌ 不要 回線またはプロバイダ側の問題

買い替え前の最終チェック

  • プロバイダが本当にIPv6対応か確認(非対応なら回線切り替えの方が安い)
  • ルーター側面のシールで「IEEE 802.11ac」以上の記載があるか確認
  • 自分の契約プランが「ベストエフォート型」でないか確認

よくある質問

Q1:IPv6にしても遅いことはある?

A: あります。特に以下の場合です:

  • Wi-Fi干渉がある:IPv6で回線は改善されても、2.4GHzの干渉が残る。5GHzへの切り替えが必要
  • 古いルーターを使っている:IPv6対応ルーターでも、数年前のモデルなら性能不足の可能性
  • 接続台数が多すぎる:Wi-Fi 6への買い替えで解決

Q2:「契約プランは30Mbps」なのに、昼は速いのに夜遅いのはなぜ?

A: インターネット回線は「ベストエフォート型」です。最大速度は保証されず、混雑時は著しく低下します。

例)契約上30Mbpsでも、夜間は1Mbps程度に低下することは珍しくありません。これはプロバイダ側の制約のため、ルーター買い替えでは解決できません。IPv6切り替えか回線変更が必要です。

Q3:モバイルWi-Fi(ポケットWi-Fi)に乗り換えたら解決する?

A: 基本的に解決しません。理由:

  • モバイルWi-Fiは回線容量が限定される(夜間はさらに混雑)
  • 固定回線より速度が遅い傾向(最大150Mbps程度)
  • 月間容量制限があることが多い

固定回線 + IPv6への切り替えが最適解です。

Q4:Wi-Fi 6ルーターなら必ず速くなる?

A: いいえ。ルーターだけでは不充分です。

  • ✓ 回線がIPv6対応か確認
  • ✓ スマートフォンがWi-Fi 6対応か確認(古い端末は非対応)
  • ✓ 夜間のプロバイダ混雑が原因でないか切り分け

まとめ:5ステップの解決フロー

1有線接続で夜間速度を測定
2遅い → 回線混雑 / 速い → Wi-Fi問題
3回線混雑なら IPv6申し込み / Wi-Fi問題なら5GHz切り替え
4改善なし → ルーター・プロバイダ見直し
5快適な夜間ネット環境へ

今すぐ診断を始めよう

夜のWi-Fi遅延は、原因を特定すればほぼ確実に改善できます。
上のステップ1から実行して、あなたの環境を診断してください。

最後に:無駄な出費を避けるために

このガイドで強調したいのは、ルーター買い替えが全ての解決策ではないということです。実際には:

  • 60%の人は IPv6切り替えだけで解決(無料~数百円)
  • 25%の人は Wi-Fi設定変更だけで改善(無料)
  • 15%の人のみ ルーター買い替えが必要(5,000~30,000円)

診断なしで買い替えると、無駄な出費になります。
必ず上の「切り分け診断」を実行してから判断してください。

このガイドが、あなたの夜間ネット環境の改善に役立てば幸いです。


参考資料・出典
本記事は以下の公式資料をもとに作成されています:

NTT東日本 – インターネット接続サービスの速度について
NTT フレッツ公式 – 通信速度(技術資料)
BUFFALO公式 – Wi-Fi接続台数と速度
ATERM公式 – Wi-Fi混雑時の対策ガイド
TP-Link公式 – 無線電波干渉のトラブルシューティング
インターネットWatch – PPPoE輻輳とIPv6 IPoEの仕組み
楽天モバイル公式 – Wi-Fi夜間遅延ガイド

最終更新:2024年 | 本ガイドは定期的に更新されています

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